レンダリングは、アメリカの食肉加工業からきた言葉で、脂肪を溶かし精製して油脂にするという意味です。
牛や豚などの家畜から食用となる肉類を除いて、直接食用にできない脂肪は、熱を加えて溶せば、牛脂やラードなど馴染みのある食用の油脂に、また石けんなどの原料にもなります。
油脂を生産した後には、絞りかすとなる肉粉といわれる副産物ができ、ペットフード原料などに利用できます。
この他に食肉加工業では、骨や内臓などの不可食部位が発生しますが、これらはまとめて熱処理によって、油脂と固形分(蛋白とカルシウムなど)が生産されます。
油脂は石けんなどの工業用と家畜の飼料に利用され、固形分は肥料や飼料に利用できます。
牛はBSEが発生し大きな問題となりました。
牛は、と畜場でBSEの検査を受け安全性が確認されたものが食用等に利用されますが、BSEのリスクが高い特定危険部位は、適切に除去し処理された後に、焼却されています。
更に、牛の肉骨粉等についても一定以上の温度気圧で処理され、安全性が確認された蒸製骨粉等を除き、安全性が確保されていないものは全て焼却されています。
従って市場に出回る鶏、豚の肉骨粉等には混入されることはなく、これらの利用では安全性が確保されています。
このようなレンダリングをおこなうレンダリング産業は、アメリカやヨーロッパのみならず畜産業や食肉加工業がある国々では必ず必要な産業として生産活動を行っています。
また、畜産業や食肉加工業を支える産業であるとともに、生産された製品は多くの用途に供給するという役割も担っています。
わが国のレンダリング産業は、BSE発生以降、大きく変貌しています。
それは、BSEによる食と飼料の安全性を確保するために、プリオンが蓄積しやすい特定危険部位が混入して処理されないように、牛の特定危険部位を適正に除去して処理するとともに牛、豚、鶏など畜種別に処理する体系が全国に整備されたことです。
これによって、今から供給される肉骨粉を原因とするBSEの発生は未然に防止されています。レンダリング産業は、原料と製造方法により大きく4つに分類されます。
ここで生産される牛脂は、国際獣疫事務局(OIE)が定める基準に従っているため、安全性が確保されています。
レンダリング産業は、直接食用にならない未利用な資源を熱処理することで、さまざまな分野で有効に利用できる油脂や蛋白製品を生産するという役割を担っています。
未利用資源をそのままにしていれば、生ものですので腐敗するため、適切に処理することが極めて重要です。
このため食肉加工業は、レンダリング産業が存在しなければ、食肉を供給することができません。
また、畜産業では、死亡牛を適切に処理することをレンダリング産業が担っているため、畜産業はレンダリング産業に支えられています。
レンダリングによる製品は、多岐にわたる分野に利用されますが、畜産業の飼料となることから、リサイクル産業として畜産・食肉加工業とともに重要な位置を占めていることになります。
BSEの危険性を除去するために専用ラインを整備し、そこで処理することより、安全な油脂や蛋白を生産し、各分野に供給するという役割は循環型社会の形成において先駆的な位置にあるといえます。
なお、ここでの食肉加工業とは、食肉センター・と畜場・食肉卸売市場など総称する言葉として用いています。